彼女も嫦娥に怨みを持つ神様である。
何故なら、嫦娥の夫は、太陽(アポロ)を撃ち落とした人物だからだ。
本来なら、太陽無くしては存在しえない地獄。
強い光を失った事で、地獄も闇を弱めた。
といっても、彼女が嫦娥を恨む理由は、純狐の影響が大きい。
純狐の今回の計画には、妖精を自由に扱える立場の者と、
夢の世界を自由に行き来出来る者が必要だった。
まさに彼女がピッタリだったのだ。
純狐と彼女はすぐに意気投合した。
もともと好戦的な性格も功を制したのだろう。
部下であるクラウンピースも自由に純狐に使わせた。
月の民が逃げ込んだ夢の世界。
彼女はその夢の世界にある偽月の都の周りも、生命力で満たしたのだ。
これにより、月の民は完全に封殺された。
あとは、嫦娥を討つだけだ――
と言うところで、純狐の方から負け宣言を出されてしまう。
どうやら、純狐の策を上回る奇策を月の民が打ってきたというのだ。
それが、死が消えて浄化された人間。
「紺珠の人間」を月に送り込んでくるという作戦だった。
「東方紺珠伝」より
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