Stage 1

 蛍火の行方

  蛍の灯りはいつもより激しく見えたのは気の所為か。
  今宵は永い夜になるだろう。

   BGM. 幻視の夜 〜 Ghostly Eyes

 闇に蠢く光の蟲
 リグル・ナイトバグ
 Wriggle Nightbug

 種族:妖蟲
 能力:蟲を操る程度の能力

  魔理沙  ああ、月が綺麗だな。
  アリス  えっ、あんたにはそう見えるの?
  魔理沙  ふん、綺麗じゃないか。
       こういう月ってなんていったっけ?待宵?
  アリス  呑気で良いわね。
       月見が楽しめて、人手が足りてたら……
       あんたなんか絶対に連れ出さないわよ。
   ?   月の見える夜は楽しまないと駄目じゃない。

      闇に蠢く光の蟲
       リグル・ナイトバグ
        Wriggle Nightbug
 
  リグル  ねぇ。お二方。
  魔理沙  楽しんでるぜ。私はな。
  アリス  あら、私も楽しんでるわよ。
       魔理沙、あなた以上はね。
  リグル  さっきといってる事が違うじゃん。
  アリス  違うの。
       私が楽しんでるのは月見じゃなくて、
  魔理沙  蛍見、だろう?
  アリス  惜しいわね。あなたにしては。
  リグル  ……来ないのなら私から行くよ!
  アリス  蛍狩よ。

      BGM. 蠢々秋月 〜 Mooned Insect
 


  魔理沙  蛍狩って蛍を捕まえる事であって、
       やっつける事じゃないぜ。
  アリス  私は捕まえる気だったのに、あんたが
       潰したんでしょ?
  魔理沙  ったく、やれやれだぜ……
       私は蛍を避けただけだ。勘違いするな。



Stage 2

 人間の消える道

  人間の通り道も、真夜中に出歩くものは獣か妖怪位。
  少なくとも人の姿が見える筈も無い。

   BGM. 夜雀の歌声 〜 Night Bird

 夜雀の怪
 ミスティア・ローレライ
 Mystia Lorelei

 種族:夜雀
 能力:歌で人を狂わす程度の能力

   ?   ちょ、ちょっと待って〜!
  魔理沙  あー?

      夜雀の怪
       ミスティア・ローレライ
        Mystia Lorelei
 
 ミスティア こんな夜中に何処に行こうっての?
  魔理沙  毎年恒例の妖怪退治強化月間だ。
       妖怪の居る所なら何処にでも出かけるぜ。
 ミスティア それは何?
       私に喧嘩を売ってるの?
  アリス  魔理沙が妖怪退治なんて滑稽だわ。
  魔理沙  おお?
       私の妖怪退治の腕を知らないのか?
       私が魔砲を放った後には、妖怪どころか
       人間も残らない。
 ミスティア そこの人間。
       私の事、知らないのかしら。
  魔理沙  あー?
 ミスティア 夜の道で私を恐れない人間はいないわ。
       その気になれば、人間なんか全滅する
       位の多くの妖怪も呼べるわよ。
  アリス  ……ふん、この夜雀風情が何を言うの。
  魔理沙  はっはっは〜
       この私が誰だか知らないと見える。
  アリス  人間でしょ?
 ミスティア 人間。
  アリス  人間三昧。
  魔理沙  いやまぁ。
 ミスティア いい?
       お前達は今夜から……
       夜は目が見えなくなるよ。

      BGM. もう歌しか聞こえない
 


  魔理沙  あー良く見える。
       どんな暗闇もばっちりだぜ。
  アリス  ああもう!
       こんな雑魚にかまってないで先急ぐわよ!
  魔理沙  それはそうと何処向ってるんだよ。
       そっちに敵が居るわけ無いだろ……
  アリス  でも、あっちの方から妖気を感じるのよ。
  魔理沙  そっちは人間しかいないぜ。
       私の様に善良な。



Stage 3

 歴史喰いの懐郷

  一車道の先には人間達が住む小さな里がある。
  だが里があるはずの場所には、何も、無かった。

   BGM. 懐かしき東方の血 〜 Old World

 知識と歴史の半獣
 上白沢 慧音
 Keine Kamishirasawa

 種族:ワーハクタク
 能力:歴史を食べる(隠す)程度の能力と、歴史を創る程度の能力。

   ?   お前達か。
       こんな真夜中に里を襲おうとする奴は。
  魔理沙  うにゃ。
       通りがかっただけだ。気にするな。
   ?   ふん、妖怪の言う事なんか信用できないな。
       今夜を無かった事にしてやる!

      戦闘終了後
 
   ?   お前達何もんだ?
  魔理沙  おっとそこは、
       やんごとなき事情を思い出した、だろ?


   ?   流石にこれ以上は下がれないな。
  魔理沙  さぁ、人間を明け渡して貰おうか。
  アリス  ちょっとちょっと魔理沙!
       誰が、人間をとって喰おうって言ったのよ。

      知識と歴史の半獣
       上白沢 慧音
        Keine Kamishirasawa
 
   慧音   ふん。
       こんな里まで妖怪が来るようになるなんて。
       やはり異常な月の所為か。
       今まで、滅多に来る事は無かったんだがな。
  魔理沙  誰も人間をとって喰うなんて言ってないぜ。
  アリス  とにかく。
       私は急いでるの!
       あんたが誰だか知らないけど、人間なんか
       にかまっている暇は無いのよ。
  魔理沙  酷いぜ。
   慧音   大人しく通り過ぎてくれるなら、
       私も何もしまい。
       だが、お前達は少々騒々し過ぎる。
  アリス  ほら騒々しいって、魔理沙。
       真夜中だというのに、
       あんたが思いっきり魔法を使うからよ。
  魔理沙  何言ってるんだ?
       魔法は真夜中に思いっきり使うもんだぜ?
       太陽の下で人知れずこっそりと使うのは、
       日光写真ぐらいなもんだ。
   慧音   なにやら不穏な空気が漂っていたので
       里を遮断したが……
       どうやら正解のようだな。
  魔理沙  だからー。
       誰も人間を襲うなんていってない。
  アリス  (……明け渡せとか言ってなかったっけ?)
  魔理沙  むしろ目の前の人間に用事があるのだ!
   慧音   何でもいいよ、この与太郎が。

      BGM. プレインエイジア
 
   慧音   里の人間にも里の歴史にも弾幕一本
       触れさせる物か!
  アリス  魔理沙!
       分かっていないと思うけど、
       こいつは人間じゃないわ。
       半獣よ。


  魔理沙  満月が無くて変身出来ない半獣なんて、
       ただの人間だな。
  アリス  あんたもただの人間でしょ?
   慧音   満月さえあればこんな奴には……。
  アリス  そうそう。
       私たちは満月を取り戻そうとしているのよ。
  魔理沙  そうだ。
       最初から言ってただろ?
   慧音   あー?
       何だよそれ。聞いてない。
  アリス  あんたなら誰の仕業か知っていそうね。
  魔理沙  さぁ、私が勝ったんだから、約束通り
       教えて貰おうか。
       約束は今作ったが。



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Stage 4 uncanny

 伝説の夢の国

  月明かりの竹の国は、夢の様に不気味に見えた。
  今にも竹が、妖しく輝きだしそうである。


   BGM.永夜の報い 〜 Imperishable Night.

 楽園の素敵な巫女
 博麗 霊夢
 Reimu Hakurei

 種族:人間
 能力:主に空を飛ぶ程度の能力

   霊夢   ちょっと待て!
       何だ、何時までも夜が明けないから
       おかしいと思ったら、
       魔理沙の仕業ね。
  魔理沙  おい、誤解だ。
       悪いのはこいつ一人だぜ。
  アリス  何よ。
       あんたも同罪でしょ?

      楽園の素敵な巫女
       博麗 霊夢
        Reimu Hakurei
 
   霊夢   こんな事して……、
       一体何を企んでるのよ。
  魔理沙  あれだな、ほら。
       霊夢、なんと言うか……。
  アリス  歯切れが悪いわね。
       いつもみたいに言えばいいじゃない。
       邪魔だ、そこをどけ!
       ってね。
  魔理沙  馬鹿!
       こいつを怒らせると不味いぜ。
   霊夢   私を怒らせる事自体が不味い事でしょ?
       今日はちょっと懲らしめてやらないと
       いけないわね。
  アリス  ふん。
       あんた、後ろ見てもなんとも思わないの?
       もう、歪な月もこんなに判り易く
       なってるじゃない!
   霊夢   ああ!
       この月も、あんたらの仕業ね。

      BGM.少女綺想曲 〜 Dream Battle
 
  魔理沙  ああ、もういいぜ。諦めたよ。
       そうだ。
       この終らない夜も、欠けて歪な月も、
       消えた人間の里も、
       お地蔵さんに傘かぶせて廻ったのも、
       全てはアリスがやった。
       さぁ、そこをどきな!
   霊夢   まぁいいけどね。
       月の光を蓄えたこの竹林で、
       あんたらは、光る竹の一つになる。
       美しいわね。
  アリス  その言葉、ちょっと屈折させて
       お返ししますわ。
   霊夢   さぁ!
       終らない夜は、ここでお終いよ!


  魔理沙  あれ?
       逃げるなんてあいつらしくないな。
  アリス  追うわよ。魔理沙。


   霊夢   さぁ、あんたらに、本当の結界を
       見せてあげるわ。
  魔理沙  何で仕切りなおす必要があったんだよ。
   霊夢   そっちが二人だから二回!


  魔理沙  さぁ急ぐぜ。
  アリス  目的地が見えてきたわ。
   霊夢   仕様が無いわね。
       悪巧みも程ほどにするのよ。
  アリス  なんか言った?
  魔理沙  へぇ。竹林の中にこんな大きな屋敷がある
       なんて、初めて知ったぜ。
   霊夢   あー?
       私も初めて見たわ。
  アリス  じゃぁね。
       良い子と負け犬はここでお帰りね。
  魔理沙  霊夢、永遠の一回休みだ。
       じゃぁな。



Stage 5

 穢き世の美しき檻

  「穢き所に、いかでか久しくおはせん。」
  そういうと閉ざされた扉は一枚残らず開き――


   BGM.シンデレラケージ 〜 Kagome-Kagome

 地上の兎
 因幡 てゐ
 Tewi Inaba

 種族:妖怪兎
 能力:人間を幸運にする程度の能力

 狂気の月の兎
 鈴仙・U・イナバ
 Reisen Udongein Inaba

 種族:月の兎
 能力:狂気を操る程度の能力

   ?   遅かったわね。
       全ての扉は封印したわ。
       もう、姫は連れ出せないでしょう?
  魔理沙  おう。
       長くて暗い廊下だったな、アリスよ。
  アリス  取り敢えず、相手にしてやったら?
       目の前の奴。

      狂気の月の兎
       鈴仙・U・イナバ
        Reisen Udongein Inaba
 
   鈴仙   って、何?
       あんた達……、地上の人じゃないの。
       こんな夜中に何の用?
  魔理沙  こんだけ長ければ、いくら掃除の達人でも
       一日が雑巾掛けだけで終るな。
  アリス  魔理沙の家の掃除よりは、時間も手間も
       少なくて済むと思うけど。
       って、いい加減相手にしてやったら?
   鈴仙   もう、変なのが紛れ込んできたわね。
       うちは今忙しいの。
       こそ泥以外の用が無いならさっさと帰る。
  魔理沙  真夜中に忙しい奴なんてのは、まっとうな
       生き方してない奴だけだ。
       なぁ同業者よ。
  アリス  魔理沙が本題を言わないなら、私が言うわ。
       歪な月の異変は、あなたかその仲間の
       仕業でしょう?
   鈴仙   そうよ。
  魔理沙  さぁ、大人しく元に戻すか、
       一悶着あった後に元に戻すか、
       どっちかを選びな!
  アリス  美味しい所だけ持っていかないの。
   ?   あの月は、まだ戻す訳にはいかないわ。
       こうしている間にも、月の民との関係は
       悪くなりつつあるの。
       もうこのまま、地上を大きな密室にする
       しか姫を逃す道は無い。
  魔理沙  ああ?何もんだ?
  アリス  魔理沙、危ないわ。
       こいつの力は今まで感じた事が無い……。
   ?   あなた達は古代の力のコピーを使用して
       いるみたいね。
       まだ人間が居なかった時代の無秩序な力。
       あの頃が懐かしいわ。
       能力にも特許を認めるべきかしら。
       まぁ取り敢えず、
       ウドンゲ、ここはお前に任せたわ。
       間違っても姫を連れ出されないようにね。
   鈴仙   お任せください。
       閉ざされた扉は一つも空かせません。
  魔理沙  なんだぁ? ベラベラ喋るだけ喋って
       逃げるなんてなぁ、
       後で倒しに来てくれ、
       って言ってる様なもんだぜ。
  アリス  そう言ってたのよ。
       でも、後で倒しに行くかどうかは、
       異変の犯人かどうかで決まるの。
       それを忘れちゃ朝になってしまうわ。
   鈴仙   あんたら、私を無視しすぎ。

      BGM.狂気の瞳 〜 Invisible Full Moon.
 
   鈴仙   いい?
       この廊下、催眠廊下は私の罠の一つ。
       真っ直ぐに飛べないお前達は、
       私の力で跡形も無く消え去るのよ。
  アリス  それは魔理沙の台詞。
       光の魔砲で跡形も無く消え去るがいいわ、
       このぺんぺん草。
  魔理沙  美味しい所持っていくなよ。
   鈴仙   その台詞、月の兎である私の目を見ても、
       まだ吐けるのかしら?


  魔理沙  月は元に戻ったのか?
  アリス  いや、こいつじゃないわね。
       やっぱりさっきの……。
   鈴仙   私に勝ったからって、師匠に敵うと
       思ってるの?
  アリス  負けるはずが無いわ。
  魔理沙  なんだか、貧弱そうだったしな。
   鈴仙   今回は、力では私の負けを認めるけど……。
       師匠は、月面一の頭脳の持ち主。
       あんたらみたいな馬鹿共なんか勝負に
       なるはずがないわ。
  魔理沙  あー?弾幕に頭脳?
       馬鹿じゃないのか?弾幕はパワーだよ。
  アリス  そういうこと言うから馬鹿扱いされるのよ。
       弾幕はブレイン。常識よ。



Final

 姫を隠す夜空の珠

  永い永い廊下。この廊下は何者かが見せる狂像か。
  近すぎる月の記憶は、妖怪には懐かしく、薄い物だった。


   BGM.ヴォヤージュ 1969

 月の頭脳
 八意 永琳
 Eirin Yagokoro

 種族:月人
 能力:あらゆる薬を作る程度の能力。天才。

   ?   ふふふ。
       無事ついて来てるようね。
  アリス  魔理沙!
       こいつを撃つのよ。
  魔理沙  んなもん、言われなくても判ってるぜ。


  魔理沙  何度も出てきたり逃げたりしていたようだが、
       それは焦りか?
   ?   焦り?
       貴方達は愚かねぇ。
       ここまで誘導されてきた事にも
       気が付かないのかしら。
  アリス  魔理沙、周りを見て!
  魔理沙  見てるって。
       何時の間にか外だな。

      月の頭脳
       八意 永琳
        Eirin Yagokoro
 
   永琳   そう、外よ。
       貴方達は永い廊下に導かれてここまで来た。
       どう?
       外の空気は。
  魔理沙  というか、空気はあるんだな。
       地上の外も。
  アリス  魔理沙!おかしいわよ。
       この月も星も……。
  魔理沙  さっきから、魔理沙魔理沙うるさいなぁ。
       結局人が居なきゃ何も出来ないのかよ。
   永琳   ふふふ。
       こうやって、月に向う人間を偽の月に繋ぐ。
       月と地上を結ぶ道は、私の手によって
       切られたわ。
       これで、地上人は月に辿り着けない。
       そして月の民は、姫を探し出せない。
  魔理沙  姫?
       そうか、お前達は月の民か。
  アリス  なんでそう思うの?
  魔理沙  狂ってる奴は大抵、月が原因だ。
       深い意味は無いぜ。
   永琳   そう、姫も私も鈴仙も月の生まれよ。
       でも、もう帰らない事にしたわ。
       ずっと昔にね。
  魔理沙  別にあんたらが帰ろうがどうだろうが
       関係無いがな。
       月の民は、月を見て楽しむ民の事を
       考えているのか?
   永琳   そんなもの……。
       地上人も見てるだけなら問題
       なかったのに……。
       わざわざ月にまで来ようとしたり、
       挙句の果てに、
       旗を立てて、自分の物だ、みたいに
       いう愚かな地上人が出てくる。
       そんなだから何時まで経っても、
       地上人は下賎なのよ。
  アリス  ふん。
       私達はそんな真似はしてないわ。
       地上に満月が無いと困る民も居る。
       そんな地上であなたが満月を隠せば、
       それなりの報復を受ける事も考えているの?
   永琳   ああ、いいのよ。
       術はもう済んだから。
       朝になれば満月は返してあげる。
       といっても、元々私達のものだけどね。
  魔理沙  そうかい。
       じゃぁ、残りは今まで隠していた分の
       報復だけ、という事だな。
  アリス  そうね。
       どの位痛みつければ良いのかしらね。
   永琳   あらあら、痛いのは嫌だわ。
       あいにく、私は薬学の心得があるから、
       多少の怪我なら大丈夫だけど。
  魔理沙  それは有難い事で。
       私達の滋養回復でもお願いするか。

      BGM.千年幻想郷 〜 History of the Moon.
 
   永琳   それにね、薬は攻撃にも使えるのよ!


   ?   何遊んでるのよ!
       永琳、私の力でもう一度だけチャンスをあげる。
       これで負けたらその時は……。
       そこの野良猫!
       私の力で作られた薬と永琳の本当の力、
       一生忘れないものになるよ!

      BGM.ヴォヤージュ 1970
 

      NORMAL ENDING No.6
 



Final B

 五つの難題

  解決不能な五つの難題。
  しかし、長い年月と幻想の力は、それらの問題を
  解くのに十分だった。


   BGM.ヴォヤージュ 1969


 永遠と須臾の罪人
 蓬莱山 輝夜
 Kaguya Houraisan

 種族:月人
 能力:永遠と須臾を操る程度の能力


       さっきのを撃ちに行く(FinalA)
      > あたりかまわず撃ちに行く(FinalB)
 
  魔理沙  月は元に戻ったのか?
  アリス  いや、こいつじゃないわね。
       ほら、あそこ……。
  魔理沙  判ってるぜ。あの扉だけ少し開いている。
       あんなに強い妖気は初めてだ。
   鈴仙   ああ、そこは。
  アリス  火薬庫かしら?
  魔理沙  火薬庫だな。
  アリス  それは行くしかないわね。
       異変の元凶の火薬庫なら。
  魔理沙  そうだな。
       そこに行けば全てが解決する火薬庫だし。
   鈴仙   ああ、師匠に怒られるぅ。


   永琳   ああもう。
       こっちに来させちゃ駄目だって言ってるのに。
  魔理沙  なんだか知らんが
  アリス  良い方に向かっている感じね。


  魔理沙  満月だな。
   ?   そう、ただの満月よ。
       貴方達が何百年も何千年も見てきた
       本物の魔力。
  アリス  魔理沙、あの満月は危ないわ。
  魔理沙  満月が危ない?
       なに寝ぼけた事言ってるんだ?
  アリス  あなたには見えないかも知れないけど……
       いま、大量に満月光線が降り注いでいるわ。
   ?   変な名前をつけないの!

      永遠と須臾の罪人
       蓬莱山 輝夜
        kaguya Houraisan
 
   輝夜   今は、月本来の力が甦っているの。
       穢れのない月は、穢れのない地上を妖しく
       照らす。
       この光は貴き月の民ですら忘れた
       太古の記憶なのよ。
  魔理沙  つまり満月光線だな。
       見えないがびしびしと感じるぜ。
  アリス  これじゃぁ、普通の人間は5分と持たず
       発狂するわ。
       魔理沙は大丈夫かしら?
  魔理沙  ああ、狂うのには慣れているぜ。
       でも、これはどういうことなんだ?
       なんで今、満月なんだ。
   輝夜   永琳の術で穢れのない月と穢れのない地上は
       隔離された。
       私はここにいる事で、地上からも月からも
       身を隠す事が出来る様になったわ。
  魔理沙  大げさなかくれんぼだな。
   輝夜   でもね。
       永琳のこの術は完全だけど、あまり
       好きじゃないわ。
       ここには誰も居ない。
       誰も訪れない。
       退屈過ぎて死にそうだわ。
  アリス  穢れのない地上には誰もいない。
       月人らしいものの見方ね。
  魔理沙  丁度良いじゃないか。
       穢い私達がたっぷり遊んで、それから
       連れ出してやるよ。
   輝夜   まぁ、私はここの生まれじゃないから、
       私を連れ出すのは本当に大変な事よ。
       ……大昔にも同じ様なやり取りをした
       事があるわ。
  魔理沙  まぁ、私は満月なんてどうでもいいんだがな。
       こいつが満月が無いと困るって駄々を
       こねるんでねぇ。
  アリス  駄々をこねるどころじゃないわ。
       余りふざけたまねをしてると、天罰が
       下るわよ。
   輝夜   天罰は怖いわね。
       でも、私が地上にいるのも天罰なの。
       そうだ、こんな私を連れ出そうとする
       人にはいつも難題を与えてきたわ。
  魔理沙  難題?
       それを解けばお前を連れ出せると
       いうのか?
   輝夜   今まで、何人もの人間が敗れ去って
       いった五つの問題。

      BGM.竹取飛翔 〜 Lunatic Princess
 
   輝夜   貴方達に幾つ解けるかしら?


   輝夜   なんて事!
       そう、夜を止めていたのは……、
       貴方達だったのね。

      BGM.ヴォヤージュ 1970
 
   輝夜   貴方達が作った半端な永遠の夜なんて……
       私の永遠を操る術で全て破って見せる。
       夜明けはすぐそこにあるはずよ。
       どう?
       これで永夜の術は破れて、夜は明ける!

      GOOD ENDING No.2
 



Extra

 蓬莱人形

  満月の下の、草木も眠る丑三つ時。
  人間と妖怪の肝試しは、いったい何を恐れる?
  最大の大罪の犠牲者は、いったいどこに居る?


   BGM.エクステンドアッシュ 〜 蓬莱人

 歴史喰い
 上白沢 慧音
 Keine Kamishirasawa

 種族:ワーハクタク
 能力:歴史を食べる(隠す)程度の能力と、歴史を創る程度の能力。

   慧音   待っていたぞ。
       満月の夜にやってくるとはいい度胸だ。
  魔理沙  肝試しだからな
   慧音   あの人間には指一本触れさせない!

 蓬莱の人の形
 藤原 妹紅
 Huziwara no Mokou

 種族:人間
 能力:老いる事も死ぬ事も無い程度の能力

  魔理沙  むしろ何も起きない事が不気味だ。
       不条理だな。
   ?   本当の恐怖は、約束された恐怖の
       向こうにある。
       居るはずのお化け役が消えたお化け屋敷程、
       怖い物は無いのよ。
       鳴く夜雀も黙る丑三つ時の竹林。
       こんな時間にほっつき歩く人間が居るなんて。
  魔理沙  何者だ?
  アリス  魔理沙、こいつは……。

      蓬莱の人の形
       藤原 妹紅
        Huziwara no Mokou
 
   妹紅   私は昔からここに住む人間。
       別に取って喰ったりしないよ。
  魔理沙  人間だと?
       そうは見えないがな。
  アリス  魔理沙、この人は確かに人間みたいだけど。
       気をつけて。
   妹紅   で、こんな時間にここに来た目的は何?
  魔理沙  筍狩り。
  アリス  肝試し。
   妹紅   どっち?
  魔理沙  判れよ……。
   妹紅   満月の下、人間と妖怪の二人で肝試し。
       人間は勇気があるというか、馬鹿というか。
       そこな人間の肝は、さぞ硬くて歯ごたえが
       あるんでしょうね。
  魔理沙  あんた本当に人間か?
       これほど肝好きの人間見たこと無いぜ。
       しかも生きているし。
  アリス  魔理沙には生きている様に見える?
       私には死んでいる様に見える。
       いや、生きていない様に見える、かな?
   妹紅   もう、人を幽霊みたいに扱ってぇ。
       でも、殆ど正解だわ。
       なかなかの幻視力ね。
  魔理沙  肝好きってところか?
   妹紅   実はね。
       私には死が無いの。
       死なないって事は、生きてもいない。
       死と生という余計な状態が無くなり、
       純粋な人間に近い人間。
       ある意味幽霊みたいなものかもね。
  アリス  死なないですって!
       煮ても焼いても。
  魔理沙  蒸しても揚げてもなんて言ったか?
  アリス  人間が不老不死になったって事は……。
       例の伝説の薬が存在するって事よ。
       やっぱり嘘じゃなかったんだ。
  魔理沙  何の話か判らんな。
       一体、誰に嘘の様な本当の話を
       吹き込まれたと言うんだ?
   妹紅   例の薬?
       蓬莱の事?
       そんなもの、とうの昔に全て使って
       しまったよ。
       確かに私はその薬を奪って、不老不死となり
       今に至る。
       輝夜はいまだ私を亡き者にしようとするが、
       それも無理な話ね。
       もう千年以上も続く馬鹿な争いよ。
  魔理沙  判ったぜ。
       全て判った。
       やっぱり、今回の肝試しのお化け役はお前だ。
       輝夜に肝試しの話を持ちかけられた時から
       おかしいと思ったんだ。
       輝夜を倒した私なら、お前を始末できると
       踏んだんだろうな。
  アリス  ちょっと! 輝夜を倒したのは魔理沙一人の
       力じゃないでしょ?
       それに、人間を倒すのは妖怪の仕事。
       目の前の貴方は、私に倒されるべきなの。
   妹紅   なんと、輝夜を倒した?
       目の前のこんな二人が?
       なんと言うことかしら。あのにっくき月人が
       こんな人妖にやられるなんて。
       これは久しぶりに歯応えのある刺客に
       なりそうね。
       いや、歯応えがあるのは肝かしら?
  アリス  残念だわ、蓬莱の薬。
       是非とも手に入れてみたかったわね。
  魔理沙  私の肝は健康だ。硬くは無い。
       したがって私には薬は不要だよ。
   妹紅   蓬莱の薬、人間は決して口にしては
       ならぬ禁忌の薬。
       一度手をだしゃ、大人になれぬ。
       二度手をだしゃ、病苦も忘れる。

      BGM.月まで届け、不死の煙
 
   妹紅   三度手をだしゃ……、
       お前達も永遠の苦輪に悩むがいい!